社会人大学院時代の恩師が、学問の基本は「比較すること」だと教えてくれた。私は社外の人々と広く交流する一つのメリットは「比較による学習」だと思っている。
本日、私は、職業紹介免許更新のため、東京労働局の湾岸庁舎を訪れた。 22年前、この辺りの会社で「デリバティブの金融商品」の営業をしたことがある。
当時は就職氷河期で、今とは真逆の「超買い手市場」だった。22歳、高卒、航空自衛隊の経歴3年半の人間に、仕事はほとんど無かった。「やりたいことを考える」ことが無駄なくらい、仕事を選べる状況ではなかった。
そのような背景もあり、私は金融ブロカーの会社に入社した。デリバティブという商品を怪しいと思っていたが、他に仕事もなく、生活のためにやるしかないという気持ちだった。
先輩営業マンたちは大金を稼いでいたようで、ベンツなどの外車に乗っていた。容姿や振る舞いもスマートで一流のビジネスマンに見えた。私はそれなりに尊敬の念を抱いていた。
その先輩が、当社商品は5人に1人が幸せになればいいと教えてくれた。ハイリスク・ハイリターンの商品なので、5人中4人が泣くのは仕方がないということだ。社会人経験が浅かった私は「そういうものか」と鵜呑みにした。
しかし、あれから20年経ったいま、あの当時のサービスや考え方は、クライアントの幸せから程遠いことがわかった。
これは、「比較による学習」による成果だ。その後のキャリアで、私はさまざまな経験を積み、比較が成り立つようになった。人間は、比較ができるようになればなるほど、物事の良し悪しがわかるのだと思う。
「本物に触れなさい」という教育方針があるが、これは「最高レベル」を知りなさいという教訓だと思う。なるべく早いうちに「最高レベル」を知り、それをベンチマークすることで、間違いのないキャリアを歩むことができる。
世の中はどんどん刷新されていく。「最高レベル」の定義も変わっていく。 私たちは、常にコンフォートゾーンの外に出ながら、新たな体験をし、比較し、学習し続けることで、独りよがりではない、健全な成長を続けることができるのではないだろうか。
佐藤 大介(株式会社エンディングキャリア 代表取締役)
私たちは「人材紹介」と「組織風土コンサルティング」を通じて、「豊かな仕事人生」をサポートしています。私は就職氷河期に直面し20年前は失業していました。働く場所がない辛さや悲しみを心底味わいました。その後、ご縁に恵まれて幸運にも人生を切り開くことができました。こんどは私がサポートする立場で、企業と求職者の双方の幸せにつながるご縁を提供できるよう誠実に務めてまいります。