
「自社で活躍する人材を定義する方法」についてご紹介します。
これを実践することで中途採用の成功率を飛躍的にアップさせることができます。
自社で活躍する人材を定義しないと何が起こるか
私は過去この定義をしていなかったため中途採用に失敗しています。
私が某中堅企業で人事責任者をしている頃、年間20人の中途社員を採用していました。マネジメント層や専門職の即戦力人材が中心です。
優秀な人材を採用したはずなのに、なぜか自社で活躍できないという事態が発生しました。
入社時に期待していたパフォーマンスを発揮できたのは、20人中5人程度でした。
この失敗により、金額に換算して6,750万円の損失を発生させてしまいました。
- 人件費の損失:1人あたりの平均年収400万円×15人=6,000万円
- 採用費の損失:採用単価50万円×15人=750万円
中途採用が失敗する原因
なぜ私が採用した人材が活躍しなかったのか。
失敗の原因の一つは自社においてどういう人材が活躍するかを定義できていなかったことにあります。
私は優秀な人材を採用したつもりですが、自社で活躍する人材かどうかを見極める視点が不足していました。
自社で活躍する人材を定義する方法
自社で活躍する人材を定義する方法は、次の3つの要素を明確にすることです。
仕事のスタイル
仕事の進め方や考え方のことです。
次に紹介する価値観と合わせることで組織文化との相性を精緻に見極めることが可能になります。
仕事のスタイルにギャップがある場合、新卒なら教育すればいいのですが中途社員は習慣化しているので変えることは原則無理です。
そのため採用面接においての見極めが非常に重要です。
▼仕事スタイルの対比(例)▼
個人プレイ | チームプレイ |
シングルタスク | マルチタスク |
任される権限が大きい | 任される権限が小さい |
関わる人が多い | 関わる人が少ない |
仕事上の変化が求められる | 仕事上の変化が求められない |
意思決定が速い | 意思決定が遅い |
トップダウン型のマネジメント | ボトムアップ型のマネジメント |
価値観
1 管理能力(Managerial Competence)
キャリアアンカーが「管理能力」の人は、経営者やマネージャーを目指したり、集団を統率したりすることに価値を見いだします。専門的な職務よりもスケールが大きく、組織を動かすような仕事に興味があるとされています。
若いうちは多くの経験を積むために、職種変更を伴う異動を積極的に受け入れ、キャリアアップのための資格取得の努力も惜しみません。誰かの世話や問題解決などが好きな傾向があり、責任を持つことで成長するタイプです。2 専門・職能別能力(Technical/Functional Competence)
キャリアアンカーが「専門・職能別能力」の人は、特定の分野のエキスパートを目指すタイプで、現場で活躍し続けることを好みます。専門性や技術力が高まることに意義と幸せを見いだし、専門家として能力を発揮する高い意欲を持っています。
技術職や研究職といった、知識とスキルを積み上げる職業に向いており、課題に向き合い挑戦を続けます。しかし、別の職種や向いていない仕事を任されると、仕事への満足度が下がる傾向があります。3 保障・安定(Security/Stability)
「保障・安定」をキャリアアンカーとする人は、社会的・経済的な安定を求めるタイプです。大企業や公務員といった安定した組織に長期間所属することを望みます。リスクを回避することを優先し、将来が見通せる環境で堅実にキャリアを歩みたいと考えます。また、この特徴から危機管理やリスクマネジメントの分野において力を発揮します。
一方で、異動には大きなストレスを感じやすい特性があります。よほどのことがない限りは転職せず、1つの組織に忠誠を誓います。4 起業家的創造性(Entrepreneurial Creativity)
キャリアアンカーが「起業家的創造性」の人は、新しいものを生み出す起業家や芸術家、発明家タイプです。新製品や新サービスの開発、新規事業の立ち上げ、既存事業の再建などに関心があり、リスクを恐れずクリエイティブな挑戦を続けるでしょう。一度企業に就職しても、将来的に独立や起業を目指すケースが多く見られます。
刺激的な仕事が好きなので、困難な課題や変化の激しい状況に立ち向かうことに、モチベーションを見いだす傾向があります。5 自律と独立(Autonomy/Independence)
キャリアアンカーを「自律と独立」に置く人は、自分のスタイルで仕事を進めることを重視するタイプで、組織のルールや規則に縛られることを嫌います。研究職や技術職に多く見られる傾向があり、自分が納得できる方法でマイペースに仕事に取り組みます。
裁量が大きい企業や、在宅勤務・フレックスタイムといった柔軟な働き方ができる企業で能力を発揮します。反対に、集団行動やルールを強制されたり、上司から強く叱責されたりすると、退職の意向が強まることがあるようです。6 奉仕・社会貢献(Service/Dedication to a cause)
「奉仕・社会貢献」をキャリアアンカーとする人は、世の中に貢献したいと考えるタイプで、仕事を通じて世の中を良くしていくことを目指します。自分の能力を発揮したり出世したりすることよりも、人の役に立つことに喜びを感じるでしょう。そのため、誰かを支援する医療、看護、教育系の仕事や、人のためになる商品・サービスの開発、監査部門、福利厚生部門で能力を発揮します。
社会貢献意識が強い分、誠意のない仕事や内部不正を見逃せません。7 チャレンジ(Pure Challenge)
キャリアアンカーが「チャレンジ」の人は、困難に挑戦することやそこから受ける刺激に喜びを感じるタイプです。ハードワークにも対応できますが、ルーティンワークは好まず、仕事を覚えると違った業界に飛び込む傾向があります。一貫性なく、多様なキャリアを持つことになる人が多いでしょう。
困難をものともしないため、異動や配置換えにも前向きで、幅広い事業を展開する企業でさまざまなことにチャレンジすることに向いています。8 ワークライフバランス(Lifestyle)
「ワークライフバランス」をキャリアアンカーに置く人は、仕事とプライベートを両立させられることを重視するタイプです。生活スタイルが確立していて、仕事には打ち込みますが、私生活を犠牲にすることはないでしょう。予定にない残業や、会社のイベントなどはきっぱり断るタイプです。
プライベートが充実すると仕事へのモチベーションが上がるため、フレックスタイムや育児休暇、在宅勤務といった制度が整った、柔軟な働き方ができる職場が向いています。
この8つのキャリアアンカーを参考に、貴社ではどういう価値観を持った人材が活躍されているかを定義してみてはいかがでしょうか。
スキル
出典元: Insource
まとめ
佐藤 大介(株式会社エンディングキャリア 代表取締役)
私のミッションは「最後に笑えるキャリア」をプロデュースすることです。20年前、就職氷河期世代の私は失業していました。働く場所がない辛さや悲しみを心底味わいました。その後、何度か転職をしながらキャリアアップを図り、家族を養えるくらいの収入がいただけるようになりました。人生100年時代を迎えて、私たちはキャリア戦略の転換を求められています。あなたのキャリアを伴走させてただくことを楽しみにしています。