組織風土はどのように
形成されるのか
この問いは、オーナー企業と上場企業の場合で
傾向が異なるため、分けて説明いたします。
オーナー企業の場合
組織風土は、組織に当たり前のように根付いた前提認識であり、支配的な価値観や考え方です。
オーナー企業の場合は、「経営者の価値観」が組織風土に大きな影響を及ぼします。
例えば、とても効率性を重視して計画の変更やムダを嫌う経営者の場合、組織風土も、効率重視になり計画的に物事を進める風土になります。逆に計画が立たないような前例のない物事に対して、行動を起こせない風土になるので、イノベーションが生まれにくいでしょう。仮に、前例がなくても挑戦していくような従業員がいたとしても、他の人からすると異質に見えて、仕事の進め方もかみ合わないので異端児として排除される可能性が高いです。
組織風土が変わるタイミングは、事業継承等でオーナー経営者が交代する時です。
エゴグラム で組織風土診断を行うと、先代が採用した人と、現社長が採用した人とで、価値観が明確に分かれます。経営者は自分の価値観に近い人を採用する傾向があるということです。
先代が採用した人と現社長では価値観が合わないことも多く、そこは対話を重ねることでお互いの価値観を知ることが大切になります。
上場企業の場合
上場企業の場合には、創業以来の理念が受け継がれているケースが多く、企業理念が組織風土を生み出しています。
例えば、三菱商事には、「三綱領」という理念があります。
- 「所期奉公 」事業を通じ、物心共に豊かな社会の実現に努力すると同時に、かけがえのない地球環境の維持にも貢献する
- 「処事光明」公明正大で品格のある行動を旨とし、活動の公開性、透明性を堅持する
- 「立業貿易」 全世界的、宇宙的視野に立脚した事業展開を図る
三菱商事の元人事課長は理念を次のように解釈していました。
「利益を上げること」や「成果を出すこと」も大事ですが、「社会の役に立つこと」や「正々堂々と行動すること」や「社員の声に耳を傾けること」なども大事です。三菱商事では利益だけを追求する風土はありません。
このように上場企業は企業理念が組織風土を形成している側面があります。
また、上場企業は、平均で7年に一度は社長が交代になります。
どのような人が社長に選ばれるかと言えば、それまでの成果も大事ですが、身勝手さが少なく他人の利得やコンプライアンスに配慮する人が多いです。このような方が出世をして経営者になるので、上場企業の社風は、自己中心性が抑制された大人の社風になりやすい傾向があります。
さらに、上場企業は規模が大きく、多数の部署が存在します。企業全体の風土は共通していますが、それとは別に部署ごとに組織風土が形成されます。部門長やキーマンの価値観が部署の風土の強い影響を与えます
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