「離職」の原因と対策
なぜ、離職するのか?
厚生労働省の「平成30年雇用動向調査結果」による、転職入職者が前職を辞めた理由です。
日本全国から無作為に抽出した約 15,000 事業所に対して調査したもので、回答者は離職者ではなく企業担当者であることにご留意ください。
この調査結果によると、定年や会社都合などを除いて、自己都合の離職要因として多いのは、「職場の人間関係」、「給与等の収入条件」、「労働時間や休日の条件」の3点になります。
なぜ、転職するのか?
立教大学の中原淳教授とパーソル総合研究所の共著「転職学」の調査結果の一部を転載します。こちらは2019年~2020年にかけて12,000人の個人にウェブ調査をした結果です。回答者は主に正社員で転職経験のある個人です。
結論としては、不満ベースの転職が全体の8割ということです。
単に不満なだけでは転職に踏み切らず、その不満が解消される見込みがない時に、人は転職を実行するとの見解を述べています。つまり、転職にはリスクがあるため抵抗感がありますが、それを超える不満と、それが解消されないあきらめが離職を生みます。
当社の調査結果
つづいて、当社独自の調査結果を共有します。
当社にご登録いただいた転職希望者とのカウンセリング面談における結果を反映しました。
2021年10月~2022年9月、538名(平均年齢35歳、平均前職年収400万円)が対象です。業種は製造業が約7割、企業規模は中小企業から大手上場企業まで多様です。
厚生労働省の調査とは対象者が異なるので単純に比較はできませんが、離職理由の5割は人間関係に起因することがわかりました。
当初の離職理由を深堀りしていくと、人間関係という真因が見えてきます。
- 例1
当初は「仕事内容に興味を持てなかった」と退職理由を挙げた人であっても、興味を持てなかった理由や、興味が持てなかった気持ちを具体的にお聴きしていくと、「未経験歓迎で入社したが、入社してみたら仕事を教わる環境がなかった」とか「先輩社員をみていて大変そうだったので」などの本心を教えていただけます。
そこで、「営業という職種に関する興味はどうでしょうか?」と聴くと、「営業自体は好きですが、この会社で続けるのは難しいです。」という返答になります。
つまり、「仕事内容に興味を持てなかった」の真因は「人間関係」にあるケースが多いのです。
- 例2
もう一つ例を挙げると、「会社の将来が不安」と理由に関しても、中小企業では業績が公開されていないので、現場スタッフが会社の実態を知っていることは少ないです。
なぜ、不安になるかと言えば、会社の中で将来に対する不安が膨らんで、不安な気持ちが噂話レベルで広がり不安を助長しているからです。これには、組織の風通しが関連しています。経営トップから現場に至るまで、しっかりと情報共有されていれば、噂話で不安になることはなくなります。風通しを良くするためには、失敗や恥ずかしいことでも言い合える心理的安全性の高さが必要であり、こちらの例も真因は人間関係にあると言えます。
心理的安全性が高い組織づくり
仕事のやりにくさの原因の8割は、性格(価値観の違い)にあると言われています。
エゴグラムという性格診断ツールを使うことで、性格を客観的に認識することができ、相手を尊重した適切なコミュニケーションができるようになります。
それが、心理的安全性が高い組織づくりに直結します。
組織風土診断のおすすめ(無償)
組織風土を改善するためには、何処にどのような問題があるのかを把握する必要があります。
そのため、弊社では最初に組織風土の診断を行っています。
診断では次のようなことが分かります。
- メンタル不調者や離職のリスク
- 組織の強みと弱み
- ハラスメントをしやすい人、受けやすい人
- 伸びしろのある人、伸び悩みそうな人
- 組織の風通しの良い箇所、悪い箇所
佐藤 大介(株式会社エンディングキャリア 代表取締役)
私たちは「人材紹介」と「組織風土コンサルティング」を通じて、「豊かな仕事人生」をサポートしています。私は就職氷河期に直面し20年前は失業していました。働く場所がない辛さや悲しみを心底味わいました。その後、ご縁に恵まれて幸運にも人生を切り開くことができました。こんどは私がサポートする立場で、企業と求職者の双方の幸せにつながるご縁を提供できるよう誠実に務めてまいります。