2024.11.29
退職者が止まらない?連鎖退職が起こる原因と改善策を解説

1人が退職すると、それをきっかけに次々と従業員が退職していく現象を「連鎖退職」といいます。この現象は、企業規模を問わず、大手企業から中小企業に至るまで多くの組織が直面する可能性のある問題です。連鎖退職が続くと、業務効率や従業員の士気が低下するだけでなく、優秀な人材を確保するための採用活動にも悪影響を及ぼします。

この記事では、退職者が相次ぐ背景を深く掘り下げ、企業が取り組むべき具体的な改善策について詳しく解説します。

連鎖退職とは?

連鎖退職とは、1人の退職者をきっかけに、他の従業員も次々と退職する現象を指します。この現象は、特定の部署やチーム内で顕著に見られ、組織全体に広がることもあります。特に、影響力の大きい社員やリーダー的な存在が退職してしまうと、連鎖退職が起きやすいとされています。

エン・ジャパン株式会社が実施した「本当の退職理由」調査(2024年)によれば、退職経験者の54%が「会社に伝えなかった本当の退職理由がある」と回答しています。この結果から、従業員は本音を隠して退職する傾向があることを示しており、また、「話しても理解してもらえないと思った」などといった回答からも、組織内での日々のコミュニケーション不足や信頼関係の欠如が連鎖退職の一因となっていることを示しています。

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連鎖退職が及ぼす影響

① 組織全体への影響

連鎖退職が起こると、組織全体の業務効率が低下します。特に、退職者が担当していた業務が重要であれば、その影響はさらに大きくなり、プロジェクトの進行が遅れることもあります。また、急に業務量が増えた社員がオーバーワークになることで、業務の効率が悪くなり、ミスの発生が避けられなくなります。

② 残された社員への心理的負担

連鎖退職は、残された社員に大きな心理的負担を与えます。特に、信頼していた同僚やリーダーが辞めた場合、その喪失感や不安感が一層強まります。「なぜこの人が辞めたのだろう」と原因を考える過程で、自分自身の職場環境にも疑念を抱く社員が増える傾向があります。また、退職者の増加によって職場の雰囲気が悪化し、「自分も早めに次のキャリアを考えるべきかもしれない」と感じる社員が増えるきっかけになることがあります。

③ 採用コストや企業ブランドへの影響

連鎖退職がもたらす影響は、採用活動や企業ブランドにまで及びます。退職者を補充するために採用活動を強化する必要がありますが、退職が相次ぐ企業は市場での評判が悪化し、「問題のある職場」と見なされやすくなります。その結果、優秀な人材が応募を避けるようになり、採用の難易度がさらに高まります。加えて、連鎖退職は転職サイトやSNS上で悪い口コミが増える要因にもなり、潜在的な応募者だけでなく、取引先や顧客にもネガティブな印象を与える可能性があります。

連鎖退職が起こる原因

① 職場環境の不満

まず、職場環境に対する不満が大きな要因として考えられます。給与や福利厚生が業界水準を下回っている場合、社員の不満が蓄積しやすくなります。また、仕事量が多すぎたり、不公平な評価制度が存在したりすると、従業員のモチベーションを大きく損なう原因となります。さらに、上司とのコミュニケーション不足や、同僚との人間関係の悪化が重なると、職場に対する居心地の悪さが増し、最初の退職者が出た後に「自分も辞めよう」という気持ちになりやすくなります。

② 退職情報の拡散

SNSやチャットツールが普及している現代では、同僚の退職情報が迅速に共有され、それが連鎖退職を引き起こす一因となっています。同僚が退職する理由や新しい転職先の魅力的な話を耳にすることで、「自分も同じ道を選ぶべきではないか」と考えるようになる社員も少なくありません。また、特に信頼している同僚やリーダー的な存在が退職する場合、「この人が辞めるのなら、自分も今がそのタイミングだ」と判断する社員が増える傾向があります。

③ リーダーシップや経営方針への不信感

経営陣やリーダー層への信頼が低下している場合も、連鎖退職が発生しやすくなります。例えば、会社の方針が頻繁に変わったり、社員の意見が十分に反映されない状況が続くと、「この会社に将来性はない」と感じるようになります。また、リーダーや経営陣が退職する際は、「上層部が見切りをつけた」という印象が強くなり、他の社員にも退職の波が広がることがあります。

連鎖退職を止めるための対策

① 職場環境の改善

連鎖退職を防ぐための第一歩は、職場環境の改善です。特に重要なのは、従業員が自由に意見を言えるオープンなコミュニケーションの場を作ることです。定期的な1on1やアンケートを実施し、社員が抱えている不満や課題を早期に把握することで、適切な対応が可能になります。また、社員の意見を積極的に取り入れることで、職場全体に「自分たちの声が反映されている」と感じ、職場への信頼感が高まります。

② エンゲージメント向上施策の導入

社員のエンゲージメントを高める施策も、連鎖退職を防ぐ特に上で欠かせません。例えば、キャリア開発プログラムや研修を通じて社員のスキルアップを支援することは、企業に対する信頼感を高めるだけでなく、社員の成長意欲を促します。また、福利厚生の充実や柔軟な働き方の導入も、社員が企業に対して感じる魅力を高める重要な要素です。リモートワークやフレックスタイム制を導入することで、働きやすさを向上させ、社員が長く働きたいと思える環境を作り出すことができます。

③ 退職者の動向をモニタリングし、早期対応する仕組み善

退職の兆候を見逃さず、早期に対応する仕組みを整えることも効果的です。例えば、離職率の高い部署の傾向をデータとして分析し、原因を特定することで、的確な対策を講じることができます。また、退職を考えていそうな社員に対して早めに声をかけ、現状の不満や問題をヒアリングすることで、退職を思いとどまらせる可能性が高まります。また、退職意向が固まっている社員に対しても、可能な範囲で退職理由を確認し、その情報を基に職場環境の改善に反映させることが重要です。

まとめ

連鎖退職は企業にとって深刻な課題であり、業務効率や社員の士気、企業ブランドにまで悪影響を及ぼします。その防止には、職場環境の改善やエンゲージメント向上施策の導入、早期の問題把握と対応が欠かせません。社員が働きやすい環境を整えることが、企業の成長と長期的な成功を支える基盤となります。

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平田菜月プロフィール画像

株式会社エンディングキャリア
平田 菜月

私たちは「人材紹介」と「組織風土コンサルティング」を通じて、「豊かな仕事人生」をサポートしています。2021年7月に株式会社エンディングキャリアに参画。2年半にわたり、キャリアカウンセラーとして企業と求職者のより良いマッチングを実現するお手伝いをしていました。妊娠・出産を経て、現在はWEBマーケティングとスタッフの業務サポートを担当しています。