2024.10.18
日本企業の離職率の平均は?従業員が定着する具体策も解説

離職率は、自社の労働環境や従業員の満足度を測る上で重要な指標です。また、就職や転職活動で企業選びをする際にも、働きやすい職場かどうかを判断するためにも重視されています。この記事では、厚生労働省のデータに基づき、日本企業の平均的な離職率を解説するとともに、従業員の定着率を高めるための具体策を紹介します。

離職率とは?

離職率とは、一定期間内(一般的には1年間)に企業から退職した従業員の割合を示す指標です。
この数値は、従業員エンゲージメントとも密接に関係するため、経営者や人事担当者によって利用されます。離職率が高い場合は、職場環境や待遇等に問題がある可能性があり、離職率が低い場合は従業員が長く定着している魅力的な職場と考えられます。
一方で、転職活動中の求職者にとっても、離職率は企業選びの重要な判断材料となっています。一般的に、離職率が高い企業は「ブラック企業」とみなされ、離職率が低い企業は「ホワイト企業」として評価されやすい傾向があります。

離職率の計算方法

離職率は、以下の計算で求めることができます。

離職率 = (離職者数 ÷ 平均従業員数)✕ 100

例えば、平均従業員数が150人で、そのうち10人が離職した場合、離職率は6.6%となります。
※平均従業員数とは、測定期間内の従業員平均です

企業は離職率を定期的に測定し、業界平均と比較することで、自社の客観的状態を把握することができます。

日本企業の過去10年の離職率推移

厚生労働省が発表した「令和5年雇用動向調査結果の概況」によると、令和5年の離職率は15.4%と前年度よりも0.4%増加しています。

日本企業の過去10年の離職率推移

出典:厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果の概況」をもとに独自で作成

新型コロナウイルスの影響や景気の変動により若干の上下は見られましたが、全体として大きな変動はなく、おおむね15%前後で推移していることが分かります。

業界別の離職率

業界別に見ると、離職率には大きな差があります。
以下のグラフは、パートタイム労働者を除いた離職率を示しています。

産業別の離職率

出典:厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果の概況」をもとに独自で作成

特に、「生活関連サービス業・娯楽業」が最も高い20.8%、続いて「サービス業」が19.3%、「宿泊業・飲食サービス業」が18.2%と高い離職率を示しています。 一方で、「複合サービス事業」や「製造業」などは、離職率が10%以下と比較的低い結果です。

男女別の離職理由

厚生労働省の資料によると、前職を辞めた理由は次のとおりです。

産業別の離職率

出典:厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果の概況」をもとに独自で作成

男性の場合は・・・ 1位:その他の個人的理由 17.3% 2位:定年・契約期間の満了 16.9% 3位:その他の理由(出向等を含む) 14.0% 4位:職場の人間関係が好ましくなかった 9.1% 5位:給料等収入が少なかった 8.2% 女性の場合は・・・ 1位:その他の個人的理由 25.1% 2位:職場の人間関係が好ましくなかった 13.0% 3位:労働時間、休日等の労働条件が悪かった 11.1% 4位:定年・契約期間の満了 9.8% 5位:給料等収入が少なかった 7.1% 男女ともに個人的な理由での退職が多く、その中でも「職場の人間関係が好ましくなかった」や「給与不満」が共通して上位にきています。 弊社では転職支援のための面談を行う機会が多いのですが、上司からのハラスメントや同僚とのトラブルなど、「人間関係」を理由にした離職が統計以上に多い印象です。

離職率が高いデメリット

離職率が高いことには、以下のようなデメリットがあります。

① 採用コストの増加

離職者が多い企業では、新たな人材の採用に多くのコストがかかります。人材紹介会社(エージェント)への紹介手数料や求人広告の費用、採用後の教育コストが増えるため、企業の財政を圧迫してしまいます。

② 従業員のモチベーション低下

離職者が多い環境では、残った従業員のモチベーションが低下することが多いです。離職者が出ることで残っている従業員の負担が増え、業務のパフォーマンスが悪化します。最悪、さらなる離職を招くという悪循環に陥るリスクもあります。

③ 企業イメージの悪化

離職率が高い企業は、外部から見て「働きにくい会社」、「ブラック企業」と見なされ、マイナスのイメージを持たれる可能性があります。特に転職活動中の求職者は、離職率が高い企業を避ける傾向が強いです。また、顧客や取引先からの信頼を損なう可能性もあり、ビジネス上の関係性にも悪影響を及ぼすことが考えられます。

離職率を改善する方法

離職率を低下させ、従業員の定着率を高めるためには、以下の具体策が有効です。

① 職場環境の改善

ワークライフバランスが重視される現代では、柔軟な働き方が求められています。例えば、フレックスタイム制度やリモートワークの導入は、従業員にとって働きやすい環境を提供する効果的な手段です。これにより、仕事とプライベートの両立がしやすくなり、従業員のストレス軽減につながります。また、働く環境そのものも重要です。快適で安全なオフィス環境を整えることも定着率の向上に効果的です。

② キャリアパスの明確化

従業員が自分の将来を見据えた働き方をできるようにするためには、キャリアパスを明確に示すことが不可欠です。定期的な研修やスキルアップのための教育機会を提供することで、従業員は自身の成長を実感でき、モチベーションを維持できます。また、評価制度の透明性を高め、努力が正当に評価される環境を作り出します。さらに、今の仕事に不満を抱えている従業員には、ジョブローテーションを導入することも有効です。

③ 従業員の声を反映するフィードバック体制

定期的なフィードバックや1on1ミーティングを通じて、従業員の不満や要望を早期に把握し、適切な対応を取ることが大切です。しかし、従業員の声を聞くだけでは不十分です。フィードバックに基づいた具体的な改善策を実施しないと、逆に不満が蓄積され、離職リスクが高まる可能性があります。問題を解決するための行動が重要であり、信頼を築くための努力が必要です。

まとめ

離職率は、企業の健康状態を示す重要な指標です。離職率が高いと思われる場合は、早々に改善策を講じ、従業員が定着する環境を整えることが大切です。 この記事で紹介したアプローチは、離職率を低下させると同時に、従業員の満足度や生産性の向上にも繋がります。とはいえ、個社ごとの課題に合わせた対策をすることが離職率改善において最も効果を発揮するため、まずは自社の現状とその原因をしっかりと把握することが重要です。
弊社では「離職率改善コンサルティング」も提供しておりますので、ご関心があればお気軽にお問い合わせください。

おまけ

じつは、離職率改善でもっとも重要なことは、貴社にマッチした人材を採用することです。弊社は製造業に特化した人材紹介サービスを提供しており、日本全国43の都道府県で成約実績があります。弊社経由で入社した方の定着率は95%以上です。
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長安理代プロフィール画像

株式会社エンディングキャリア
長安 理代

私たちは「人材紹介」と「組織風土コンサルティング」を通じて、「豊かな仕事人生」をサポートしています。
20年以上の会社勤務で、役員秘書、営業事務、企画、カスタマーサポートなどを経験。2005年にコーチングに出会い、“誰もが、より自分らしく生きる社会を創る”をミッションに非営利団体で活動。その後、コーチングをベースにしたキャリア相談をしたいと思い、人材業界にシフトしました。現在はキャリアカウンセラーとして求職者支援と、企業の採用支援の両面を行い、Happy✕Happyなマッチングを目指しています。