評価するマネジメントと、理解するマネジメントの違い
― 人を理解する3つの段階 ―

マネージャーとしてチームメンバーと向き合っていると、
「ちゃんと見ているつもりなのに、うまく伝わらない」
「支援しているつもりなのに、距離が縮まらない」
そんな場面に出会うことがあります。
相手の行動を見ている。
課題も把握している。
必要な支援も考えている。
それでも関係性が深まらない時、私たちは本当に相手を理解できているのでしょうか。
「理解する」とは、具体的にはどういうことなのでしょうか。
実は、人によって指しているものが異なります。
第一段階:事実を理解する
私たちが最初に目にするのは行動です。
- 行動量が少ない
- 相談がない
- 成果が出ない
マネージャーはまず、この事実を把握します。
もちろんこれは大切です。
しかし事実だけでは、その行動がなぜ起きているのかまでは見えてきません。
第二段階:原因を分析する
事実を把握すると、次に私たちは原因を考え始めます。
「なぜ動けないのだろう」
「何が行動を止めているのだろう」
例えば、
- 必要なスキルが身についていない
- 経験が不足している
- 目標や役割が曖昧になっている
こうした原因を整理し、打ち手を考えることは、マネジメントにおいて大切な視点です。
問題の原因を分析し、改善策を考え、実行する。
それ自体は決して間違いではありません。
ただ、原因を探すことに意識が向きすぎると、
「なぜできないのか」
「何が足りないのか」
「どこを改善すればよいのか」
という見方に偏り、相手そのものを見る視点が抜け落ちてしまうことがあります。
その人が今どんな状態で、何を感じ、何に引っかかっているのか。
そこを見ないまま原因だけを探すと、相手には「評価された」と感じられても、「理解された」とは感じられないかもしれません。
さらに、本人の状態を十分に理解しないまま、マネージャー側の見立てだけで打ち手が進んでいくと、メンバーは支援されているというより、「自分の意思とは関係なく動かされている」と感じることがあります。
第三段階:状態を理解する
理解にはもう一歩深い段階があります。
それは、「その人は今どんな状態なのか」を見ることです。
- 不安を抱えているのか
- 自信を失っているのか
- 疲弊しているのか
- 失敗を恐れているのか
同じ行動でも、状態によって意味は変わります。
事実だけを見ると「動いていない人」に見える。
原因だけを見ると「能力が足りない人」に見える。
しかし状態を見ると「動きたくても動けなくなっている人」が見えてくることがあります。
同じ「相談がない」という事実でも、
- 自信がなくて相談できない人
- 迷惑をかけたくなくて相談できない人
- 過去に否定されて相談できなくなった人
では、必要な支援は全く違います。
そして、状態を見るとは、相手の感情に共感することだけではありません。
その人が今どんな景色を見ているのか。
何に不安を感じ、
何に迷い、
何を恐れているのかを理解しようとすることです。
だからこそ、「なぜできなかったのか」という原因を考える前に、まずは相手が今どんな状態にあるのかを理解することが大切です。
状態が見えて初めて、原因も適切に捉えられるようになります。
理解の順番は、「原因」より先に「状態」を見ること。
それが、より良い支援につながるのではないでしょうか。
人は評価されるより、理解されたい
メンバーの課題が表出した時、私たちはつい「原因」を探そうとします。
なぜなら、原因が分かれば解決できると思うからです。
もちろん、事実を見ることも、原因を考えることも大切です。
ただ、そこに相手の状態を理解しようとする視点がなければ、支援は一方通行になってしまうことがあります。
「理解」とは、問題の原因を見つけることだけではありません。
その人が今、どのような状態にあり、どのような景色を見ているのか。
そこに目を向けることも、理解です。
事実を見る。
状態を理解する。
その上で、原因をともに考える。
その順番を意識することが、相手をより深く理解し、必要な支援をともに考えるための第一歩になるのではないでしょうか。
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