2023.02.04
世代間ギャップ

世代間ギャップの概観

世代間ギャップはいつの時代にも存在します。
いつの時代でも「いまどきの若者は・・・」というフレーズが使われていることが何よりもの証拠です。

就職氷河期世代(1970年~1980年代半ば生まれ)頃までは、画一的な学校教育が行われており、先生と生徒、先輩と後輩の上下関係がハッキリしていました。そのため、世代間ギャップがあったとしても、目上の人の指示には従うという前提があったため、世代間ギャップの問題が見えにくい状況でした

ミレニアル世代(1981年~1996年生まれ)、Z世代(1990年代後半~2000年代生まれ)の頃には、個性を尊重する時代に入ってきます。さらに、スマホやSNSの普及により誰と付き合うかを自由に選択できるようになりました。SNSでは、好きな人や価値観が合う人とだけ交流し、嫌な人や価値観が合わない人を避けることが簡単にできます。
就職氷河期世代までと違って、目上の人の指示には従うという前提が薄いので、世代間ギャップが目立ちやすくなったと言えます。

  • 世代
  • 年代
  • 特徴
  • バブル世代
  • 1965年~1969年生まれ
  • 一般的に日本で、バブル景気(1987年度から1991年度)の時期に就職した世代をさす。高校・大学受験の倍率が高く、志望校に入学するために厳しい受験戦争を経験している。その反面、売り手市場の中で就職をしている。
  • 就職氷河期世代
  • 1970年~1980年代半ば生まれ
  • 一般的に日本で、バブル景気(1987年度から1991年度)の時期に就職した世代をさす。高校・大学受験の倍率が高く、志望校に入学するために厳しい受験戦争を経験している。その反面、売り手市場の中で就職をしている。
  • ミレニアル世代
  • 1970年~1980年代半ば生まれ
  • 2000年代に成人あるいは社会人になった世代をさす。日本ではバブル崩壊後の景気低迷期に育っている世代。PCや携帯電話を駆使するデジタルネイティブ世代とも呼ばれ、消費や労働に関して独特の価値観を持っているともいわれている。
  • Z世代
  • 1990年代後半~2000年代生まれ
  • 近年、もしくはこれから社会人になる世代をさす。1995年4月~1996年3月生まれは「究極のゆとり世代」とも呼ばれる。思春期にはSNSが普及しており「ソーシャルネイティブ世代」ともいわれている。

企業における世代間ギャップの問題

私は多くの経営者や人事担当者(40代が中心)とお話しする機会がありますが、若年層との世代間ギャップで悩んでいる方ばかりです。実際にどのような問題を感じているのか、頻繁に耳にする問題ベスト3を紹介いたします。

①若者はマイペース

中高年から見ると 若年層はマイペースに感じます。
ほかの人が仕事をしていても自分の仕事が終わったからと定時で帰る、飲み会は断る、自分の仕事できていなくてもリカバリーしようとしないなど、とくかくマイペースに感じます。

それでいて、自己都合の要求はけっこう主張します。マイペースなのは悪いことではありませんが、チームプレーや責任感が不足していることは見過ごせない問題です。

②若者は対面コミュニケーションを避ける

目の前にいる人とのコミュニケーションにメールやチャットを使います。欠勤連絡も基本メールやチャットです。デジタル世代の行動様式なのか、電話や対面を避ける傾向があります。
ここでの問題はメール中心だと意思疎通にズレが生じたり非効率な面が出てくることです。

コミュニケーションにはバーバル(言語)とノンバーバル(非言語)があります。 コミュニケーションで伝わることを全部で100%とすると、バーバルの割合は7%、ノンバーバルは93%(話し方、抑揚、語調の強弱などが38%、ボディーランゲージ、表情、身振り手振り、姿勢などが55%)といわれています。つまり、メールでは7%しか伝わらないという話です。

③若者は出世意欲が低い

いまの若者は、バブル世代や就職氷河期世代のように偉くなりたいとか稼ぎたいという欲求が強くありません。
出世とはある意味で競争ですが、人と比べたり競争するよりも、自分らしく生きたいという価値観を持っています。仕事よりも自分らしく生きることが優先なのです。

そのため、上司からの命令であっても、自分の価値観と合わない場合には従わない傾向があります。会社のために個性を抑制したり犠牲にしたくないのです。

余談ですが、このように個性を主張しても仕事に就ける理由は、労働市場が売り手市場だからです。しかし、売れるのは若いうちだけです。年齢を重ねた時に相応の経験スキルがなければ採用されなくなります。

世代間ギャップを解消する方法

企業で起こっている世代間ギャップを解消するために、弊社がコンサルティングで取り組んでいることを紹介いたします

①採用時のマッチング精度を上げる

これまで見てきた通り、若手にはマイペース感が強い特徴があり、上司や先輩の言うことに従うという価値観が薄い傾向があります。
入社後、真剣に仕事に取り組んでもらうためには、仕事内容や企業カルチャーが本人の価値観と合っている必要があります。しかしながら、若い時には自己分析が未熟なことが多く、本人ですら自分のことをよくわかっていない状態です。そこで使う手法がカウンセリングです。

想いに対して傾聴を続けていくと、無意識であったことが意識できるようになり最終的に言語化できるようになります。またカウンセリング以外にも、3,000字以上のレポート課題を与えることで本人の内省を促したりします。面接で関係性を築く前に依頼すると離脱につながりますので、最終面接の直前でレポート依頼するのが良いと思います。

弊社では、募集方法から面接プロセス設計、企業の魅力付けなど、トータル的にコンサルティングしています。

②上司と部下の相互理解を促進する

リクルート社の調査によると、1on1面談を導入している企業は全体の7割だそうです。
そのうち直近3年以内に導入した企業が約半数と、1on1面談は大変ホットな施策です。

1on1面談は上司と部下の1対1の面談であり、目的は部下育成です。具体的には、部下のやる気を引き出し、主体的に考えて行動する部下を育成することです。

1on1面談は、上司が部下に指導する場でなければ、評価する場でもありません。部下の話を傾聴することで、部下自身の内省を促進する場です。部下の価値観に触れる形になりますので、上司は部下を理解できるようになりますし、また、部下もよく話をきいてくれる上司を受け入れるようになります。これを行うためには上司がカウンセリング・スキルを習得する必要があります。弊社では1on1面談のトレーニングを提供しています。

③組織の風通しを良くする

風通しの良い組織は、現場と経営に情報や認識のズレがない組織です。現場の情報が経営にあがってくるし、経営の方針も現場に伝わっている状態です。
しかしながら、世代間ギャップは風通しを悪くする要因になります。

コミュニケーションはメールが中心でまともに対面で話さないなどの問題があると、意思疎通が阻害されてしまいます。
この問題を解決する一つの手段は、「雑談タイムを設ける」ことです。雑談は自然には発生しないという考え方です。もちろん仲良い人同士は自然に雑談しますが、それ以外の雑談を増やすには、毎週月曜日の朝15分は雑談タイムにするなど、時間を決めると効果的です。 テーマはなんでもOKで、「私のペット」みたいなテーマでも可能です。共通の趣味が見つかって、一気に仲良くなった事例がたくさんあります。

若手は上司だからといって言うことはききませんが、親しい人の言うことはききますので、良好な関係を築くと仕事が格段にしやすくなります。

佐藤大介プロフィール画像

佐藤 大介(株式会社エンディングキャリア 代表取締役)

私たちは「人材紹介」と「組織風土コンサルティング」を通じて、「豊かな仕事人生」をサポートしています。私は就職氷河期に直面し20年前は失業していました。働く場所がない辛さや悲しみを心底味わいました。その後、ご縁に恵まれて幸運にも人生を切り開くことができました。こんどは私がサポートする立場で、企業と求職者の双方の幸せにつながるご縁を提供できるよう誠実に務めてまいります。

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