2023.11.20
指導とパワハラの境界線

今日は「指導とパワハラの境界線」についてご紹介したいと思います。

昨今、パワハラリスク対して経営も管理職も敏感になっているように感じます。部下を指導しなければいけないが、指導とパワハラの境界線がわからないなどのご相談が多く寄せられます。

まず、パワハラの実態についてですが、厚生労働省が2020年度に実施した「ハラスメント実態調査」によると、過去3年間でパワハラを経験したという人が31%という結果が出ています。

3人に1人はパワハラを受けたと感じているということですが、この数字、みなさんはどう思われますか?
多いとも少ないとも何とも言えないでしょうかね・・・

といいますのも、パワハラには明確な定義がないからです。
パワハラの定義が難しいのは、受け手側の感じ方次第という点です。
良かれと思って指導しても、受け手側がパワハラだと思えば、パワハラになってしまうのです。

しかし、パワハラには受け手側に左右されない共通点があると思います。それは「一方的な言動」です。

ハラスメントとは、人に対する「嫌がらせ」や「いじめ」などの迷惑行為を指しますといいますが、相手から一方的な言動をされると誰でも不快に感じます。それは、自分が尊重されていないと感じるからだと思います。さらに一方的な言動が続くと、不快な感情が蓄積されていき、ときどき暴言などがあると「ハラスメントされているのではないか」、「いじめられているのではないか」と感じる人が出てきます。

それでも、日本人は我慢する人は少なくありませんが、我慢の限界を超えれば、トラブルになります。トラブルとは、心身の不調、内部告発、訴訟、SNS拡散などです。

それでは、パワハラを防止するためには、どのようにすればいいのでしょうか?

ひとつの答えは、「一方的なコミュニケーション」から「双方向のコミュニケーション」に変えることだと思います。双方向コミュニケーションを成立させるためには、傾聴や共感を通じて、まずは相手の考えや気持ちを理解することから始めなければいけません。特に、気持ちへのフォーカスは忘れやすいので注意が必要です。

ところが、どんなに傾聴しても、相手への理解が進まない時があります。そこで、使えるツールの一つが「エゴグラムテスト」です。これは「対人関係の特徴を客観視できる性格診断テスト」であり、お互いの価値観の違いを知るために大変有効です。(ご興味のある方には、有料版を無料でご案内差し上げます。)

今日の結論です。
「指導とパワハラの境界線」は、コミュニケーションの方向性が「一方的」なのか「双方向」なのか次第だというお話しをさせていただきました。双方向のコミュニケーションが成立している時、相手はパワハラではなく指導として受け止めるのではないでしょうか。

佐藤大介プロフィール画像

佐藤 大介(株式会社エンディングキャリア 代表取締役)

私たちは「人材紹介」と「組織風土コンサルティング」を通じて、「豊かな仕事人生」をサポートしています。私は就職氷河期に直面し20年前は失業していました。働く場所がない辛さや悲しみを心底味わいました。その後、ご縁に恵まれて幸運にも人生を切り開くことができました。こんどは私がサポートする立場で、企業と求職者の双方の幸せにつながるご縁を提供できるよう誠実に務めてまいります。