採用ファネルとは?採用活動を成功に導くフレームワークを徹底解説
少子高齢化の影響で生産年齢人口(15歳から64歳)が減少し、人材確保をめぐる競争が年々激化しています。そのため、「求人広告を出して応募を待つ」という従来の採用手法では、優秀な人材を採用することが難しくなっています。そこで、採用活動の課題を可視化し、戦略的にプロセスを最適化するフレームワークとして注目されているのが「採用ファネル」です。
この記事では、採用ファネルの基本的な考え方から具体的な活用方法までを解説します。
採用ファネルとは?
採用ファネルとは、求職者が企業を「認知」してから「興味」を持ち、「応募」し、「選考」を経て、最終的に「内定・入社」に至るプロセスを図解化したフレームワークです。
ファネルは、もともとマーケティング分野で使われており、顧客が商品やサービスを認知してから興味・関心を持ち、比較・検討をして、購入・申し込みに至るまでの流れを採用活動に応用したものです。採用活動をデータドリブンで最適化するために活用されます。
採用ファネルの特徴は、各段階での求職者の動向を可視化し、離脱が発生する原因を明確にすることで、効率的かつ戦略的な採用活動を可能にする点です。
採用ファネルの基本構造
採用ファネル(パーチェスファネル)は、次の6つの段階で構成されています。
求職者が企業の存在を知る段階。広報活動や求人広告、SNSでの情報発信が鍵となります。
求職者が企業に興味を持ち、詳細な情報を求める段階。会社の文化やミッション、社員の声を効果的に発信します。
求職者が応募を真剣に検討する段階。このフェーズでは、仕事内容や報酬、働き方の明確な説明が必要です。
求職者が実際に応募する段階。応募手続きを簡単にすることで、応募率を向上させます。
企業と求職者がお互いの適性を評価する段階。迅速かつ公正な選考プロセスが求められます。
最終段階で内定を出し、入社へとつなげます。このフェーズでは内定者フォローが重要です。
採用ファネルの種類
採用ファネルには、以下の3つの種類があります。
パーチェスファネルは、採用ファネルの基本的なモデルで、求職者が企業を認知してから応募するまでのプロセスを段階的に示したものです。このモデルでは、フェーズごとに適切な施策を行うことで、効率的な採用活動を実現します。たとえば、認知フェーズでは求人広告やSNSを活用し、検討フェーズでは企業のビジョンや働き方を明確に伝えることが重要です。採用活動の基盤となる重要な構造といえます。
インフルエンスファネルは、求職者が入社した後の行動を段階的に表したモデルです。入社後の「継続」「共有」「発信」の3つの段階を通じて、社員が自社の魅力を発信・紹介し、影響を広げていく逆三角形の構造を持ちます。特に社員による紹介制度であるリファラル採用の促進や企業ブランド価値の向上に役立ちます。
ダブルファネルは、パーチェスファネルとインフルエンスファネルを統合したモデルです。求職者の行動を入社前と入社後で区別せず、全体的に分析することでマーケティングの効果を高めます。採用活動と入社後の社員による影響力拡大を両立させ、幅広いターゲット層に対応できるのが特徴です。
採用ファネルを活用するメリット
従来の採用手法では、求人情報を自ら検索するような顕在層の求職者が主なターゲットでした。しかし、採用ファネルを活用すれば、今すぐの転職を考えていない「潜在層」にもアプローチが可能になります。具体的には、SNSを活用した企業文化やビジョンの発信、オンライン・オフラインでの企業説明会などを通じて、潜在層の求職者に企業の魅力を伝えることができます。この取り組みは、長期的に優秀な人材プールを形成するうえで効果的です。
採用活動を効率化するためには、各フェーズでのデータを可視化し、改善点を明確にすることが重要です。たとえば、認知フェーズでの求職者数、応募フェーズでのコンバージョン率、選考フェーズでの離脱率などを数値化することで、どの部分に課題があるのかを特定できます。さらに、このデータを基に、ターゲット層への適切な施策を迅速に実行できます。これにより、採用活動の精度が向上し、無駄なコストや時間を削減することが可能です。
採用ファネルを活用すれば、求職者の興味を段階的に引き出し、応募から選考、内定・入社までのプロセスをスムーズに進めることができます。たとえば、興味・関心フェーズでは、企業の具体的な魅力や働き方を明確に伝え、応募意欲を高める工夫が求められます。また、選考フェーズでは、迅速な対応と分かりやすい選考プロセスを設計することで、応募者に安心感を与え、信頼を高めることが重要です。こうした取り組みによって、採用全体の質を向上させ、求める人材を確実に迎え入れることができます。
採用ファネルを活用する具体的手法
まずは、求める人材像を明確にすることが重要です。どのようなスキルや経験、価値観を持った人を採用したいのかを定義することで、ターゲット層に合ったアプローチが可能になります。採用ペルソナを設計し、採用ターゲットを定期的に見直した上で、ターゲット層に適したアプローチを策定することで、無駄のない効率的な採用活動が実現します。
採用ペルソナの設計については、下記記事で詳しく解説しています。
【関連記事】採用ペルソナとは?効果や設計ポイントを解説
求職者に企業の魅力を伝え、興味を持ってもらうには、質の高いコンテンツの発信が必要です。単なる情報提供ではなく、求職者に「この企業で働きたい」と思わせる感情に訴えかける内容が求められます。具体的な取り組み例は下記の通りです。
- 社員インタビュー動画:現場のリアルな声を動画で伝えることで、企業文化や職場環境をより具体的にイメージさせます。
- 社内イベントのレポート記事:チームワークや社内の雰囲気が伝わる記事をブログやSNSに投稿します。
- ビジョンやミッションを解説するブログ記事:企業の長期的な目標や社会的意義を共有し、求職者の共感を引き出します。
採用活動の成果を最大化するためには、各フェーズでのデータを収集し、課題を特定して改善を繰り返すことが重要です。たとえば、Googleアナリティクスを活用して、認知フェーズでの採用ページのアクセス数や滞在時間、直帰率を分析すれば、どのコンテンツが求職者の興味を引いているかを把握できます。
また、採用管理システム(ATS)を用いることで、応募者数、選考通過率、内定者の入社率などを追跡し、どの段階で求職者が離脱しているのかを特定できます。
これらのデータを基に、たとえば直帰率が高い場合はページ構成を見直し、選考通過率が低い場合は面接プロセスの改善を行うなど、採用活動の具体的な改善が可能になります。
まとめ
採用ファネルは、採用活動を戦略的に進めるための強力なフレームワークです。求職者が企業を「認知」してから「内定・入社」に至るまでのプロセスを可視化することで、どの段階で課題があるのかを把握しやすくなります。また、データを活用して採用活動を改善することで、従来の方法では難しかった潜在層へのアプローチや、採用活動全体の効率化も可能です。
企業の魅力を効果的に伝えるコンテンツの発信や、ターゲット層に合った戦略の実行を通じて、優秀な人材と出会える可能性が広がります。この記事が、貴社の採用活動を進化させるためのヒントになれば幸いです。
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株式会社エンディングキャリア
平田 菜月
私たちは「人材紹介」と「組織風土コンサルティング」を通じて、「豊かな仕事人生」をサポートしています。2021年7月に株式会社エンディングキャリアに参画。2年半にわたり、キャリアカウンセラーとして企業と求職者のより良いマッチングを実現するお手伝いをしていました。妊娠・出産を経て、現在はWEBマーケティングとスタッフの業務サポートを担当しています。