セクショナリズム解消の事例(中堅旅行会社M社 )

背景

「お前なんか営業やめろ! 降格して出直してこい!」

全国の営業担当が出席する会議上で、大阪所長のAさん(53歳)が、東京営業所のエースBさん(28歳)を叱責した。Bさんは、1年前に中途入社して、早くも全国トップの営業成績を収めており社長をはじめ上層部から評価されていた。

AさんとBさんの問題は営業スタイルの違いにあった。

M社はビジネストラベルに特化した旅行会社で顧客はすべて法人である。顧客には大手有名企業も多かった。東京エリアは大阪エリアよりも競合が多く、激しい価格競争にさらされていた。

そこで、東京営業所では、仕入れ原価を下げたうえで格安商品を提案して競合他社に打ち勝っていた。大阪営業所の懸念としては格安商品があることを知られたら、競争がないのに価格を下げることになり売上が減少することだった。

この格安商品を主導したのがBさんであり、AさんにとってBさんは邪魔で目障りな存在だった。それが冒頭の叱責につながる。Bさんの上司である東京営業所長のCさん(28歳)はその場にいたが、目上の人を立ててその場での発言を控えた。

課題

・東京営業所と大阪営業所の協力体制の構築

性格分析

エゴグラムテストを実施して、登場人物3名の性格特性とそれにより引き起こされる問題を分析した。

Aさんの性格分析

■性格

ルール重視、越権行為を許さない。上司には何も言わないが、部下にはきつくあたるパワハラ傾向。部下には服従を求め従う部下は守るという親分肌。発想力に乏しく保守的

 

Bさんに対する思い

・自分に従わないことが気に入らない

・新しいことは必要ない

・大阪に影響を及ぼさないでくれ

 

Cさんに対する思い

・従順でかわいい存在

Bさんの性格分析

■性格

数字への達成意欲が強い。誰よりも成果を出して一番になりたい。オリジナリティーで勝負したい。それを阻害するしがらみは大嫌い。自分が得すれば相手はどうでもいい。

 

Aさんに対する思い

・保守的な人間は去ってほしい

・現状維持ならだれでもできる。仕事していないに等しい

・仕事に年齢など関係ない

 

Cさんに対する思い

・外部折衝をしてくれて頼りがいがある

・自分のことを評価してくれる得する存在

Cさんの性格分析

■性格

正義感が強くて曲がったことが大嫌い。世話好きで誰とでも仲良くできる。マネジメントは支配的で外部からは部下を守る。仕事に計画性がなく場当たり的。

 

Aさんに対する思い

・Aさんの顔を立てたいが、すべて従うと目標を達成できない

・東京の事情を説明しても理解してもらえずに悩ましい

 

Bさんに対する思い

・数字の稼ぎ頭で頼りにしている

・自分が苦手な数字の部分を補ってくれる存在

支援したこと

・A,B.Cさんを含めた営業チームメンバー全員に性格分析研修を実施。性格の違いを学ぶことで営業チームとして相互理解を深めた

Aさんの個別面談を数回実施。Aさんのこれまでの功績や価値観を認めたうえで、いずれ大阪も価格競争に及んだ際はどうするのか?Bさんを認め、彼の力を活用したほうがAさんにとってもメリットはないかという話をした

Bさんの個別面談を数回実施。東京では価格競争は仕方がないが、大阪への波及を遅らせるための対策はないか?Aさんとの関係を修繕し、全国的に取り組んだほうがメリットが大きいのではないか?という話をした

Cさんの個別面談を数回実施。まず、板挟みの悩みに共感。Cさんとしては本当はどうしたいのか?それを実現するために、Cさんにできることは何か?という話をした

成果

AさんとBさんの関係は改善されて、Aさんの主要取引先の東京エリアをBさんに任せるまでになった

・東京と大阪の情報共有が進み、協働体制ができたことで、全社の売上アップにつながった

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ABOUT この記事を書いた人

記事プロフィール 佐藤 大介(株式会社エンディングキャリア 代表取締役)
私のミッションは「最後に笑えるキャリア」をプロデュースすることです。20年前、就職氷河期世代の私は失業していました。働く場所がない辛さや悲しみを心底味わいました。その後、何度か転職をしながらキャリアアップを図り、家族を養えるくらいの収入がいただけるようになりました。人生100年時代を迎えて、私たちはキャリア戦略の転換を求められています。あなたのキャリアを伴走させてただくことを楽しみにしています。